ランドセルに使われている素材（生地）について紹介をします。
まず生地は大きく「天然皮革（本革と呼ばれるもの）」と「人工皮革」に分けることが出来ます。
ランドセル（セイバンやフィットちゃん、かるすぽ等）に使われている素材の70～80％は人工皮革というものです。天然皮革と比べてもどっちがどっちか判断しにくいものが多くなってきましたよね。
それではまず、両生地の分析をしていきますので、違いがわからない！という人は参考にしてみてください。

人工皮革って？？

生き物から採れる革ではなくて、人が作り出した革のことを「人工皮革」と呼びます。
天然皮革より軽いことと、鮮やかなカラー、カラーバリエーションも豊富な点が特徴です。

人工皮革は、不織布や織物を基材として、ポリウレタンなどの樹脂を染み込ませたり、上に塗ったりして”層”を作ります。あとは洗浄、乾燥、コーティングなどの過程を経て、人工皮革となるんだそうです。

特にランドセルでよく使われるのは、株式会社クラレのクラリーノという生地。日本で人工皮革を工業化されたのはこのクラレさんが初めてなのだそうです。
6年間使うランドセルだからこそ、しっかりとした生地が選ばれるんですね。なにより水に対して強く、お手入れも簡単なことが人工皮革をランドセルに使う理由なのかもしれません。

（画像引用元：http://www.clarino.com/）

※人工皮革と合成皮革は別物です。合成皮革は布地を基材に合成樹脂を塗布後、表面だけを型押しで天然皮革に似せたものなので注意！風合い、軽さ、耐久度などに違いがあります。

◎代表的な人工皮革

• クラリーノF　：　しなやかで革らしい風合いです。多くの製品に使われています。
• クラリーノFα　：　ツヤがあり撥水効果・対傷性も高いです。滑らかな質感も人気です。
• クラリーノFx　：　Fαの効果に加え、天然皮革に近い風合いが特徴です。
• クラリーノスプレモ　：　天使のはねでお馴染みのセイバンと共同開発した生地。傷に強く、耐久性も撥水性も高い優れた生地です。
• タフロック　：　クラリーノシリーズで最も丈夫な生地です。摩耗性、耐傷性等に優れた素材ですが、少しだけ重たいのも特徴です。
• コードレ　：　帝人コードレの軽量生地です。「軽くて丈夫」を特徴としています。
• アンジュエール　：　株式会社FILWEL（フィルウェル）のセイバン専用生地。マッドな質感・カラーリングが特徴で、耐傷性・丈夫さも兼ね備えています。
• エクセーヌ　：　東レの生地で、超極細繊維ベースの高密度生地なので、高い耐久性が特徴です。

最近はどの会社の生地も耐久性に優れたものが多く存在しているようです。どれがいいのかわからないという方は、触った感じの質感や、風合い、男の子なら耐傷性も重視した生地のランドセルを選んでもいいかもしれませんね。

では次は天然皮革の分析をしてみましょう。

天然皮革って？？

天然皮革とは動物（牛・馬・豚・山羊等）から採れる革のことです。
最近は工房系（山本鞄・黒川鞄・土屋鞄等）のランドセルも人気が高く、そんな工房系ランドセルや、最近は工房系でないランドセル会社でも多く使われているのが天然皮革です。
30年程前のランドセルはほとんど牛革製でした。
手入れの手間がかかる点と、高価な点、また人工皮革の丈夫さに近年押され気味ではありましたが、表面加工技術の進歩などで撥水性能や耐久性が上がり、使っていくうちにそれぞれの艶や深みが出てくることが理由で最近は再熱しているようです。

◎代表的な天然皮革

• 牛革（ステア）　：　生後3~6か月以内に去勢したオスで、生後2年以上経たものの革です。厚みが比較的安定しており、丈夫です。
• 牛革（キップ）　：　生後半年以後～1年余りまでの牛の革で、キメがステアより細かく柔らかい点が特徴です。
• 馬革（コードバン）　：　馬のお尻の部分の革で、「革のダイアモンド」と称される革の最高峰です。１頭の馬からランドセルのカブセ部分２枚分しか採れないため大変希少で高価です。革質はしなやかながら極めて強靭、かつ肌目は細かく磨きこむと大変美しく、高級感に溢れます。
  

  

  （画像引用元：http://www.leatherworks.jp/l10.htm）

• ヌメ革　：　植物の渋などに含まれる成分「タンニン」を使って革を鞣しただけの天然皮革のことを指します。最も革らしさのあるベージュ～クリーム色に近い見た目をしていますが、使っていくうちに使用している人に合わせた味わい深い風合いになる点がヌメ革の最大の特徴です。高い上質感や革の良い匂い、滑らかな手触り・表面の傷跡や血筋、シワ等が天然物の証として、表面だけ本革に似せた合成皮革とは一目で違いのわかるものとなっています。
  

  

  （画像引用元：http://djembe311.exblog.jp/18710208/）

  
  最大の特徴は丈夫で長持ち、という点です。
  最初は硬く感じますが、使っていくうちに手に馴染み、いかにも自分専用！といった触り心地になるので、私は良くヌメ革の小物を愛用しています。
  ヌメ革をランドセルに使っている所は「土屋鞄」が代表的です。
  

天然皮革は水に弱く、すぐに拭いてあげたり、定期的にオイルを塗ったりと手入れが大変という印象が強いですが、最近は表面に撥水加工や傷がつきにくい加工を施したりしているランドセルも多いので（ヌメ革は例外）、本格的なメンテナンスが必要になることはあまりありません。そのような加工がされていない本革のランドセルに関しては、手入れした分美しく、誰とも同一のランドセルにならないという素敵な特徴もあります。人工皮革より高価で重量が多少増えますが、天然皮革は６年以上しっかり使える頑丈な点や人工皮革と比べられない程の質感が魅力ですね。

番外編

• リアルソフトカーボン　：　車やテニスラケット等幅広い工業製品に使用される炭素繊維（カーボンファイバー）という丈夫な素材があるのですが、それを人工皮革のように布・シート状にしたものがリアルソフトカーボンです。
  人工皮革のように伸びたりせず、頑丈なことが特徴ですが、折り曲げることもハサミで自由に切ることもできるので、車の外装アレンジパーツやDIY等でも利用できる素材なのだそう。
  最近話題になったのは、車好きの方にはお馴染み「レクサス」からリアルソフトカーボンを使用したランドセルが販売されたということでしょうか。
  

  

  （画像引用元：http://jp.autoblog.com/2016/03/06/15-lexus-toyota-2016-goods/）

  
  人工皮革部分にはベルバイオというものを使い、製造した会社は「ララ屋」です。
  このスタイリッシュな見た目が、さすがレクサス！といったところでしょうか。お値段はなんと15万円だそうで、中々手が出しにくい代物ですが高品質なのは間違いないです。
  

まとめ

人工皮革と天然皮革の分析はいかがでしたか？
どちらにもそれぞれの魅力があり、ランドセル選びの際は悩むと思います・・・。
最近はカラーバリエーションも増えて、装飾も凝ったものが多くてお子様と一緒に迷ってしまうと思います。

◎カラーバリエーションや豊富なデザイン、お手入れのしやすさで選ぶなら人工皮革のランドセル
◎丈夫さ・風合いで選ぶなら天然皮革のランドセル

といったように基準を設けると選びやすくなりますね。
お子様の人生で１度きりのランドセル選び、いっぱい一緒に悩んで、毎日学校が楽しくなるような、とびきりのランドセルを選んであげてください！