ランドセルは6年間使うもの。せっかく気に入って買ったからには、できるだけ長く、きれいに使いたいですよね。
ランドセルを長持ちさせるには？お手入れは何をすればいいの？ここではそんな疑問にお答えします！

毎日のお手入れ方法

まず気になるのは日頃のお手入れ方法ですが、ランドセルは基本丈夫な素材でできています。本革でも人工皮革でも、汚れたなと思ったら柔らかい布で乾拭きしてあげるくらいで大丈夫。もし雨に濡れてしまったら、すぐに拭きとって陰干しすれば問題ありません。
本革ランドセルには革用クリームを塗らなくていいの？と思うかもしれませんが、ほとんどのものは表面に樹脂がコーティングされています。油分がつくと逆にシミになってしまうこともあるので、どうしても、という場合、クリームを使ったお手入れは目立たない部分で試してから行うようにしましょう。
またランドセルカバーやレインカバーを使用するお子さんもいらっしゃると思いますが、つけっぱなしにしておくとカバーがランドセルにくっついてしまったり、色移りしてしまったりすることがあります。ちょっと面倒ですが、カバーはおうちに帰ったら外す習慣をつけておくと安心です。

素材別の特徴と注意点

人工皮革

現在、国内で販売されているランドセルの約70%が人工皮革でできています。この素材は、本革の繊維構造を樹脂で人工的に再現したもの。丈夫で軽く、お手入れもしやすいのが特徴です。表面は水や汚れに強く、傷もつきにくいので特別なお手入れは必要ありません。汚れが目立つ場合には柔らかい布で乾拭きするか、薄めた中性洗剤で拭き取るようにしましょう。豊富なカラーバリエーションも人工皮革の強みですが、パステルカラーは汚れが目立ちやすいこともお忘れなく。
注意点としては、主成分が樹脂のため経年による生地劣化が懸念される点です。6年間の使用が前提とはいえ、長くお店に置かれていたものや誰かのおさがりなど、必要以上に時間が経ってしまったものは避けた方が無難でしょう。また水に強い素材ですが、刺繍が多く施されたものは針穴から水が入ってしまうこともあるのでカビには注意が必要です。

本革加工あり（樹脂塗装）

人工皮革に次いで人気なのが、表面に樹脂塗装を施した革素材です。表面には牛革やコードバン（馬のお尻の高級革）、カブセ裏には豚革を使うことが多く、本革の風合いを保ったまま人工皮革のように扱いやすく丈夫に仕上げられているため、手軽に本革ランドセルの高級感を楽しむことができます。
このタイプの革は表面に樹脂がコーティングされているため、革用クリームなどを塗っても中まで浸透しません。お手入れは人工皮革と同様に日々の乾拭きで十分でしょう。とはいえ、革は本来水や薬品に弱い素材です。洗剤の使用は避け、極力水に濡れないよう配慮してあげてください。

本革加工なし（ヌメ革）

表面加工なしのヌメ革を使ったランドセルはなかなか珍しい商品です。遊び盛りのお子様と6年間過ごしますから、傷つきやすく水と汚れに弱いヌメ革は、あまりランドセルに適した素材とは言えません。毎日のお手入れも通常の革製品と同様、ほこりを払って保革油やクリームを塗りこみ、ピカピカに磨くまでの手間と時間がかかります。
しかしそうして手をかけた分、表面のツヤと色味がどんどん増していくのも特徴の一つ。毎日大切にお手入れできるお子様なら、6年生になる頃には最高に美しいランドセルを手に入れられるはず。予防策として撥水スプレーをかけておくのも一つの手です。

背中のお手入れ方法

お子様が最も汗をかく背中側には、通気性の良い特殊な人工皮革が使われていることもあれば、本革が使われていることもあります。そんな背中部分が汚れてしまった時はどうすれば良いのでしょうか？
人工皮革の場合は本体同様、洗剤を使ったお手入れでも大丈夫。本革の場合はできるだけ乾拭きし、どうしても落ちない場合は水染みにならないよう、固く絞った布で全体をさっと拭きましょう。夏場など特に汗をかいた時は背中も湿っています。雨に濡れた時と同じように、軽く拭いてから陰干しすると通気性を維持できますよ。

内装のお手入れ方法

鉛筆汚れやお弁当・水筒汚れが目立つランドセルの内装は、商品によって仕上げ方も様々です。特に加工もなく人工皮革や本革がむき出しのランドセルは、外装と同じ方法でお手入れしてあげてください。汚れ防止のために特殊なフィルムを貼って仕上げているものもありますが、そうしたランドセルはさっと拭くだけできれいになります。撥水効果はあるものの、空気のこもりやすい場所なので、水分をこぼした時は拭き取った後に陰干しすることをおすすめします。

お手入れに必要なもの

基本的には柔らかい布があれば十分です。ほこりを落としたり汚れをふき取ったり、また乾拭きも水拭きもこれ1枚でできてしまうからです。日々の使用に伴うお手入れなら特別なものは必要ないでしょう。
あまりにもひどい汚れが付いた場合には中性洗剤を使う必要があります。おしゃれ着用の洗剤が置いてあるお家なら、それを薄めて使うことができますよ。ただしシンナー・ベンジン・アルコールなど薬品類の使用は、ランドセルの素材が何であれ使用を避けた方がいいでしょう。下手をすると色落ちしてしまいます。

ここまでいろんなカテゴリーからランドセルのお手入れ方法を見てきました。
ランドセルのお手入れで最も重要なのは、やはり素材です。まずはきちんと説明書を読み、お手持ちのランドセルに合った方法でお手入れするようにしましょう。

Q＆A

Qランドセルはいつ頃買いに行けばいいの？

A豊富な選択肢が欲しいなら夏休み！でも、あせらなくて大丈夫
ランドセルの購入時期は近年大きな悩みどころとなっています。人気モデルが夏ごろになると売り切れてしまう…なんて噂も。工房系と呼ばれる本革製品中心のメーカーでは事実、毎年のように完売の文字が並んでいます。しかしそれはあくまで一部の話。いわゆる工房系メーカーは、原材料や会社規模の関係で製造数を絞らざるを得ないのです。メジャーな人工皮革を使ったランドセルは一年通して販売されているので、安心してランドセル選びに専念することができますよ。もちろん業界には売り出し時期というものがあり、年々それも早まっている傾向にあります。今ではおじいちゃん・おばあちゃんと一緒に選べる夏休みにピークが来ていますから、一番品揃えの良い時期に探したいなら8月ごろにはめどをつけておくといいでしょう。

QA4フラットとクリアはどちらがいいの？

A通学時間と相談して。手荷物の量にも左右されます
以前のランドセルはA4クリアファイルが入るだけで随分ありがたがられました。小学校入学前の小さなお子様にとってはこのサイズでも十分大きいのですが、A4フラットファイル対応のランドセルはもっと大きい！親御さんからすれば、機能性と体への負担どちらを取るか悩ましいところだと思います。そこで各サイズのメリット・デメリットをまとめました。

》A4クリアファイル対応
○コンパクトながら必要最低限の容量を確保しているため、体への負担が軽め
×思いがけずフラットファイルを使うことになった場合はサブバッグなどを使う必要あり。教科書以外の荷物が入らないことも

》A4フラットファイル対応
○容量不足の心配がない。フラットファイルを使わない場合には体操着や上履きなどが入るので、手荷物がかさばらない
×低学年の頃は体への負担が大きい。通学時間が長いとどうしても重く感じてしまう
体への負担が少ないのはやはりクリアファイルサイズですが、手荷物が多くなるならランドセルに入れてしまえるフラットファイルサイズが便利です。とはいえ、実際のサイズは1～2cmほどしか変わりません。通学先の学校でのファイル使用状況はもちろん、手荷物の量やお子様の通学時間などと相談してから決めましょう。

Q小柄な子供のランドセルはどんなものがいい？

A実重量より体感重量！実際に背負ってみながら選びましょう
体の小さなお子様ですと、大きなランドセルは実際の重量以上に重く感じるものです。特に教科書や水筒を入れると2、3㎏にもなるランドセル。ここではその重さを、いかに軽く感じさせてあげるかがポイントになります。今では当たり前になった肩ベルトの立ち上がりをはじめ、背中のフィット具合やクッション機能などもチェックしましょう。お子様の体に合っているかどうかは、プロの方に見てもらったほうが安心です。できるだけ百貨店やメーカー直売店などで見てもらいましょう。

Qデザインやカラーはどうやって決めたらいい？

A気に入ったものが一番ですが、6年間愛着を持って使えるか確認を
最近はランドセルもデザインやカラーのバリエーションが豊富になり、選択肢が増えた一方、どれを買うか決断するのも難しくなっています。変わった色だと浮かないか心配、刺繍の多いものは耐久性が不安、あまりにデコラティブで飽きが来そう…など、選択肢の数だけ悩みもつきません。でも、ランドセルはお子様が使うもの。一番優先してあげるべきはやっぱりお子様の希望です。自分のものは自分で選ぶ責任感を育む、いい機会にもなりますよ。
ただ、客観的に見てあまりにも…という場合には、お子様にきちんと「6年間使い続けられるかどうか」を確認しましょう。購入時は幼稚園生ですが、卒業する頃には12歳です。流行り廃りの大きいキャラクターものやラブリーすぎるものなどは大きくなると恥ずかしくなり、使わなくなってしまうこともあるのでよく相談してください。事前に人気のカラーを把握しておき、親御さんの方でブランドを絞っておくのも一つの手ですよ。刺繍は名の知れたメーカーであればきちんと作られていますので、水濡れに気をつけてあげれば大丈夫です。
関連記事：ランドセルの色について

Qランドセルの価格帯はどのあたりを選べばいいの？

Aオーソドックスな価格帯は3万円～5万円。何を求めるかによって前後
ランドセルの種類が増えるにつれ、そのお値段も多様化しています。少子化でお子様一人への投資額が増え、ランドセルの高級化が進んでいる背景もあり価格帯は様々。現在市場に出ているランドセルのお値段をグレード別にざっくり分けると、1万円以下・1万円～3万円・3万円～5万円・5万円～8万円・8万円以上…といった具合で、その中間にあたる3万円～5万円前後がオーソドックスな売れ筋価格帯となっています。各メーカーからもたくさんのランドセルが売り出されているので、特に強いこだわりがなく、お子様の気に入った色やデザインが見つかればこの予算から選ぶのが無難でしょう。
よく言われることですが、ランドセルの品質はおおむね価格に比例します。一般的に8万円を超えると高級ランドセルと呼ばれ、逆に1万円以下のものは壊れることを前提に購入する方がほとんど。すべてが悪いというわけではありませんが、悪徳業者による販売でないか注意してください。高級ランドセルはコードバンという高級馬革を使用している場合が多く、素材によっても価格が変わってきます。3万円以下のものはまず人工皮革製だとみていいでしょう。お値段の話は親御さんの領分ですから、ランドセルに丈夫さを求めるのか安さを求めるのか、きちんと見極めたうえで価格帯を絞ってください。予算のめどがつけばある程度ブランドを絞ることができます。お子様がお気に入りのランドセルを見つける手助けをしてあげましょう。

Q素材は何を選べばいい？

A手軽さなら人工皮革、高級感なら牛革、頑丈さならコードバン
現在ランドセルに用いられる素材は、人工皮革と天然皮革の二種類に大別されます。人工皮革は㈱クラレのクラリーノ®に代表されるランドセルの主素材で、天然皮革の繊維構造を人工的に再現したもの。スポーツシューズやボールにも使われる丈夫さと、高い撥水性・耐汚性による扱いやすさが魅力です。一方、天然皮革は牛革とコードバン（馬のお尻の高級革）の二種類が使われています。水や薬品に弱いという弱点がありますが、その質感は人工皮革の比ではありません。特にコードバンは天然皮革最高の強度を誇り、高級感と丈夫さを併せ持ったハイグレードな素材です。
どの素材を選ぶかですが、ここはランドセルに何を求めるかで違ってきます。手軽で丈夫なランドセルが欲しいなら人工皮革、高級感のあるランドセルが欲しければ牛革、質感と頑丈さのどちらも求めるならコードバン…といったところでしょうか。製品になった時の値段はクラリーノ＜牛革＜コードバンですので、価格との兼ね合いも考えながら検討してみてください。